「バリ島にドローンを持っていきたいけど、本当に飛ばしていいのかな…」
そんな不安を抱えている方は少なくありません。結論から言えば、バリ島でドローンを飛ばすことは可能です。ただし、重量が250g未満だからといって「どこでも自由に飛ばせる」わけではありません。重量基準はあくまで航空法上の登録免除に過ぎず、バリにはそれよりも厳しい現地の慣習法(バンジャール)や保護区の独自ルールが存在します。この記事では、2026年8月時点の最新情報をもとに、実際に旅行者が直面したトラブル事例や、上位サイトではあまり触れられていない実費・手続きのリアルを徹底解説します。
バリ島のドローン規制を理解するための3つのルール層
バリ島でドローンを飛ばすにあたって、守るべきルールは大きく分けて3つの層に分かれます。これを理解せずに「重量2kg未満だから大丈夫」と思い込んで現地に行くと、想像以上のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
1. 国家レベルの航空法(インドネシア民間航空総局DGCAのルール)
まず基本となるのが、インドネシア運輸省民間航空総局(DGCA)が定める航空法(PM 163 Tahun 2015)です。これは2015年に制定された全国一律のルールで、以下のような内容が含まれます。
- 重量2kg未満のドローンは航空法上の許可が不要
- 飛行高度は地上150m以下
- 空港からは半径15km以上離れること
- 夜間飛行は全面禁止(機体に点滅灯があっても不可)
特に「夜間飛行の全面禁止」は、世界の多くの国と異なる特筆すべきルールです(出典:Dronesgator、2026年3月)。
2. バリ州の文化財保護・慣習法ルール(Perda Baliとバンジャール)
ここが最も落とし穴になりやすいポイントです。バリ島には**アウィグ・アウィグ(Awig-awig)**と呼ばれる伝統的な慣習法が今も生きており、特に寺院から半径5km圏内は、**バンジャール(伝統村落共同体)**の同意が事実上必須となります。
このルールはPeraturan Daerah(Perda)Bali No. 12 Tahun 2024に基づくものと見られ、重量が軽いドローンであっても、この慣習法が優先されるというのが現地の実情です(出典:バリ州地方規則の解釈に基づく、2024年制定)。
3. 保護区・自然公園の特別ルール(BKSDA管理区域)
バリ島にはブヤン湖やバトゥール山など、BKSDA(バリ自然資源保護庁)が管理する保護区が複数存在します。これらのエリアでは、2024年10月30日から適用されたPP No. 36 Tahun 2024に基づき、商業的撮影やドローン飛行にはSIMAKSI許可証の取得と**PNBP(国家非税収入)**の支払いが義務化されました。
なんと、ドローン利用料は**2,000,000 IDR(約2万円)**に設定されています(出典:BKSDA広報発表、2024年10月)。
バリ島で実際に起きているドローントラブル事例
SNSやQ&Aサイトを調べてみると、バリ島でのドローントラブルは決して珍しい話ではないことがわかります。ここでは実際に旅行者から報告されている事例を、傾向としてまとめました(出典:Travelanswer.ru、Koran Juri、Bali Forumなど、2026年1月~2月の投稿を集計)。
トラブル事例の傾向(複数件の報告から)
- 税関申告漏れによる没収・罰金:インドネシア到着時に税関申告(Customs Declaration)をせずに通過しようとして、空港でドローンを没収されたり、罰金を科されたという報告が複数見られました。特に重量に関係なく、すべてのドローンに税関申告が必須であるという認識が不足しているケースが目立ちます。
- バンジャール(現地共同体)による厳しい注意・没収:ウブドの寺院近くや棚田エリアで飛行させたところ、現地のバンジャールのメンバーに厳しく注意され、ドローンを没収されそうになったという体験談が複数確認されています。重量が軽いことを説明しても、現地のルールが優先されるため通用しなかったケースが多いようです。
- 許可証不足による高額課金の請求:ブヤン湖などの保護区で、事前許可なしに飛行させたところ、BKSDAから事後的に高額な課金(約200万円相当)を請求された事例も報告されています。
- 空港周辺でのトラブル:デンパサール空港(ングラ・ライ空港)の半径15km圏内はクタ、スミニャック、サヌール、ヌサドゥアなどの主要ビーチリゾートがほぼ全域含まれるため、うっかり飛行させて警察に通報されたケースも見られました。
重量別・目的別で見るバリ島ドローン飛行許可の実態
それでは、具体的にどのようなケースで何が必要なのか、表にまとめてみました。この表は、多くの情報サイトではあまり明確にされていない「税関申告の要否」と「バンジャール同意の必要性」を軸にしています。
| ドローンの種類/用途 | 重量目安(例) | 航空法上の許可(DGCA) | インドネシア到着時の税関申告 | バリの保護区/寺院での要件(SIMAKSI/バンジャール) | 実費目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 超軽量ドローン(娯楽) | DJI Mini 4 Pro(249g) | 不要(2kg未満) | 必須(到着時に税関で書類提出) | 寺院5km圏内はバンジャール同意が事実上必須 / 保護区は不許可(商業扱いとなるため高額課金) | 税関申告は無料 |
| 軽量~中型ドローン(娯楽) | DJI Air 3 / DJI Mavic 3(~1kg) | 要登録(SIDOPI) | 必須 | 同上(より厳しく見られる傾向) | 登録手数料として約100万IDR(約9千円)の報告あり |
| あらゆるドローン(商業/営利目的) | 全重量対象 | 要許可証(パイロットライセンス等) | 必須 | 必須(SIMAKSI取得)。国家公園等では利用料 2,000,000 IDR(約2万円) が別途かかる | 許可証取得費 + 2,000,000 IDR |
(出典:Dronesgator、BKSDA広報、旅行者体験談の集計に基づく)
意外と知られていない「重量250g未満」の落とし穴
「DJI Mini 4 Proは249gだから、バリでも安心」——これは大きな誤解です。
確かに重量249gというのは、インドネシアの航空法(DGCA)の観点では「許可不要」のラインです。しかし、前述の通りバリには重量とは無関係に適用されるルールが複数存在します。
特に見落とされがちなのが、税関申告の義務です。インドネシアにドローンを持ち込む際は、重量に関係なく到着空港で税関申告書を提出する必要があります。この申告を怠ると、その時点で「密輸」扱いとなり、没収や罰金の対象になります。
また、仮に税関申告をクリアしても、飛行させようとする場所が寺院の近く(バリ島では至るところに寺院があります)であれば、バンジャールの同意なしに飛ばすことは事実上不可能です。観光客が多く訪れるウブドのライステラスや、海に面したウルワツ寺院周辺は特に警戒レベルが高いと言えるでしょう。
バリ島で安全にドローンを飛ばすための5つのステップ
ここまで読んで「じゃあ、実際どうすればいいの?」と思われた方のために、バリ島でドローンを飛ばすための具体的なアクションプランをまとめます。
ステップ1:出発前に航空会社の機内持ち込みルールを確認
バッテリーは機内持ち込みが原則です。機体は預け入れ可能な場合が多いですが、航空会社ごとにルールが異なるため、事前に確認しましょう。
ステップ2:インドネシア到着時の税関申告書を事前に準備
飛行機の中で配られる税関申告書、または到着空港の電子申告システムで、ドローンを携帯していることを必ず申告します。「重量が軽いから」と申告を省略するのは絶対にやめてください。
ステップ3:飛行場所を事前にリサーチする
飛行予定の場所が以下のいずれかに該当しないか、事前に調べましょう。
- ングラ・ライ空港から半径15km圏内(クタ、スミニャック、サヌール、ヌサドゥアの大部分が該当)
- 寺院から半径5km圏内(バリ島のほとんどの観光地が該当すると考えてください)
- BKSDA管理の保護区(ブヤン湖、バトゥール山周辺など)
ステップ4:保護区で飛ばす場合はSIMAKSI許可を正式に申請
どうしても保護区内で商業目的の撮影が必要な場合は、BKSDAにSIMAKSI許可証を申請し、2,000,000 IDR(約2万円)の利用料を支払う覚悟をしましょう。ただし、この申請には時間がかかるため、渡航の数週間前からの手続きが推奨されます。
ステップ5:現地ではバンジャールの指示に従う
現地でバンジャールのメンバーから注意を受けた場合は、素直に従うことが最善の策です。バリ島では警察よりもバンジャールの権限が強いと言われることがあり、彼らの決定に逆らうと事態が悪化する可能性があります。
バリ島の主要エリア別・飛行リスク評価
最後に、観光客がよく訪れるエリアごとに、飛行リスクを簡易評価してみましょう。
- クタ・スミニャック・ヌサドゥア:空港15km圏内のため飛行禁止。リスクは非常に高いです。
- ウブド(中心部・ライステラス):空港からは離れていますが、至るところに寺院があり、バンジャールの監視が非常に厳しいエリアです。事実上、許可なく飛ばすのは困難と考えてください。
- テガララン(棚田):過去に没収事例が報告されているエリアです。観光客も多く、目立つためリスクが高いです。
- ブヤン湖・バトゥール山:BKSDA管理の保護区です。無許可飛行は高額課金のリスクがあります。
- チャング・サヌール(一部エリア):空港圏外かつ寺院から離れたエリアであれば、比較的フライトしやすいという体験談も見られますが、常に周囲の状況に注意が必要です。
まとめ:バリ島でのドローン飛行は「重量」より「場所」と「手続き」がすべて
バリ島でドローンを楽しむために最も重要なのは、「重量が軽いから大丈夫」という考えを捨てることです。
航空法上の重量基準は、あくまで国レベルの「空の安全」ルールに過ぎません。バリにはそれに加えて、**「地上の文化と自然を守るためのルール」**が強力に存在します。この二重構造を理解せずに飛ばすと、重量が249gのDJI Mini 4 Proであっても、DJI Mavic 3であっても、トラブルに巻き込まれるリスクは同じです。
どうしても空撮をしたい場合は、税関申告を確実に行い、飛行エリアを厳選し、必要に応じて公式の許可(SIMAKSI)を取得する——この基本を守ることが、バリ島で気持ちよくドローンを飛ばすための唯一の近道です。
バリ島の美しい風景をドローンで切り取るのは、とても魅力的な体験です。しかし、その体験がトラブルで台無しにならないよう、この記事で紹介した最新のルールと現地の実情をしっかり頭に入れてから、フライトに臨んでくださいね。

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