ドローンネット節税って、そもそもまだ使えるの?──この疑問、めちゃくちゃ重要です。結論から言うと、「レンタル目的でドローンを買って経費にする」というスキームは、2026年7月現在、ほぼ機能しません。 しかも、2025年12月にドローンネットという会社が約1444億円もの負債を抱えて破産したことで、この手の節税スキーム全体に税務当局のメスが入っているからです。
この記事では、ネット上の古い情報に惑わされずに、今、本当に安全なドローン経費計上のルールを、2022年の法改正と最新の倒産事例を踏まえて解説します。「営業マンに勧められたけど不安…」「顧問税理士と意見が割れて困ってる」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ドローンネット破綻が示した「節税スキーム」の危険な実態
まず最初に、このテーマで絶対に外せないのが2025年12月18日の出来事です。東京地裁が、暗号資産マイニングマシンやドローンの販売・レンタル事業を手がけていた株式会社ドローンネットに対して破産手続きの開始決定を出しました。負債総額はなんと約1444億円(日本経済新聞 2025年12月)。2025年最大の倒産案件です。
ここで重要なのは、彼らがやっていたビジネスモデルです。ドローンネットは、投資家に「ドローンを買って当社に貸し付ければ、減価償却で経費が増えて節税になる」というスキームを大規模に販売していました。つまり、「ドローンネット節税」って言葉で検索してる皆さんが不安に思ってるアレ、まさにこれです。
税務の専門家の見解(タクスリンク税理士事務所 2025年)によると、この種のスキームが否認されるリスクの根っこには、「実質所得者課税の原則」 という考え方があります。要するに、税務署は「形」よりも「実態」を見るんです。書類上はあなたがドローンを買って事業に貸し出していることになっていても、実態がただのお金の出し手(出資者)に過ぎないと判断されれば、経費として認めてもらえません。ドローンネットの破綻は、このスキームの脆弱性を如実に示したと言えるでしょう。
なぜ「レンタル用ドローンは経費にならない」のか?2022年税制改正の衝撃
「でも、ネットで見た記事には『ドローンは10万円未満なら全額経費にできる』って書いてあったんだけど…」
もしそういう情報を見たら、その記事は2022年4月1日より前の古いルールで書かれている可能性が高いです。ここが最大の落とし穴なんです。
2022年度の税制改正で、貸付の用に供する減価償却資産は、少額減価償却資産の特例(いわゆる30万円未満の即時償却や10万円未満の全額経費計上)の対象から除外されました(国税庁通達に基づく 2022年4月施行)。
つまり、「ドローンを買って、それを誰かにレンタルする」という目的で購入した場合、そのドローンはたとえ30万円以下でも、少額減価償却資産の特例が使えません。 強制的に通常の減価償却(耐用年数に応じて数年にわたって経費計上)をしなければならないんです。これだけで、営業マンが言う「即座に経費が増える」というメリットは半分以上消えてしまいます。
ドローン節税でよくある3つの「営業トーク」の嘘と真実
ここで、実際にドローン節税を勧める営業マンが使いがちな口上と、それに対する2026年現在の正しい理解を整理しておきましょう。ユーザーの声を集計すると(X・Yahoo!知恵袋 2026年7月)、「営業マンと顧問税理士の言うことが違う」 という相談が非常に多く見られました。
営業トーク①「ドローンは30万円未満なら全額経費にできるよ」
- 真実: 自社で実際に撮影や測量などに使うなら可。でも、レンタルに出すなら不可(2022年改正)。
- 判断ポイント: 営業マンがこの話をしてきた時点で、その人は最新の税制を知らないか、知っていて隠しているかのどちらかです。どちらにせよ、信用するのは危険です。
営業トーク②「うちが管理するから、稼働実績は大丈夫。税務調査も心配ない」
- 真実: 税務調査で求められるのは、あなたの事業とそのドローンの直接的な関連性です。業者が管理する実績は、あくまで「その業者の事業実績」。あなたがそのドローンを事業にどう使ったか、という実態が問われます。
- 判断ポイント: もし税務署が来たら、あなたは「なぜこのドローンを買ったのか」「実際にどう運用しているのか」を説明できなければなりません。「業者が運用してます」は通用しません。
営業トーク③「ドローンネットは別の会社だから、関係ないよ」
- 真実: 法的には確かに別会社ですが、税務署の監視の目は同じスキーム全体に向けられています。あれだけ大きな倒産が出て、国税庁が「貸付用ドローン節税」を重点的にチェックしないはずがありません。
- 判断ポイント: 「自分は大丈夫」という根拠がない限り、この手のスキームに手を出すのは、火の中に飛び込むようなものです。
安全なドローン経費計上の条件と耐用年数の基本
では、実際にドローンを事業で使って経費にしたい場合、どうすればいいのでしょうか?答えはシンプルで、「自社の事業に直接使う」 ことです。
建設会社が測量用に、農業法人が農薬散布用に、物流会社が配送用に、あるいは映像制作会社が空撮用に買う。これらは立派な経費になります。その場合の耐用年数も、用途によって異なるので覚えておきましょう。
- 撮影・空撮用(カメラとしての性格が強い): 5年(国税庁の一般的な解釈)
- 農業用(農薬散布・撮影など): 7年(ACSL社の解説 2023年)
- 物流・宅配用: 10年(ACSL社の解説 2023年)
この耐用年数に従って、定額法や定率法で毎年少しずつ経費計上していくのが正しい処理です。ちなみに、どんなドローンにも共通して言えるのが、100g以上の無人航空機は登録義務(国土交通省 2022年6月施行)があること。経費計上とは別に、このルールは守らなければいけません。
【比較表】自社利用 vs レンタルスキーム vs ドローンネット型のリスク評価(2026年7月時点)
ここで、それぞれのスキームがどれだけリスクが違うのか、表にまとめてみました。これを見れば、なぜ「レンタル型」がダメなのかが一目瞭然です。
| 評価軸 | 自社利用(撮影・測量など) | レンタル事業(他社に貸出) | ドローンネット型(過去のスキーム) |
|---|---|---|---|
| 少額減価償却特例(30万円未満) | 適用可(事業に真に使用する場合) | 適用不可(2022年4月以降取得分) | 適用不可(貸付目的のため最初から対象外) |
| 耐用年数(目安) | 5年(撮影)〜10年(物流) | 5年(貸付資産としての償却) | 実質的に「経費否認」リスクにより償却計画自体が崩壊する可能性 |
| 実質所得者課税のリスク | 低い(自分で使ってる証拠が残せる) | 中程度(管理体制次第。個体ごとの稼働記録が必須) | 極めて高い(実態が単なる出資と認定される可能性大) |
| 2025年ドローンネット破綻の影響 | ほぼ無影響(別企業) | 同業者への信用不安。金融機関の融資が厳しくなる可能性も | 対象企業の破綻で契約が消滅し、投資したお金が戻ってこない |
| 税務調査の厳しさ(想定) | 標準的(事業用かプライベートかの区別を確認) | 厳しい(本当に貸してるのか?の証明が求められる) | 超厳しい(国税庁の重点監視対象。ほぼ間違いなく調査対象) |
(出典:国税庁通達・ドローンネット破綻記事・税理士見解を基に筆者作成)
もし既に契約してしまったら?今からできる3つのチェック
「やばい…もう契約しちゃったよ…」という方もいるかもしれません。まずは落ち着いて、以下の3つを確認してみてください。
- 契約書の「貸付期間」と「買取義務」を確認する
ドローンネット系のスキームによくあったのが、「数年後に業者が買い取る」という買取保証です。これがあると、実質的にあなたはドローンを「買った」のではなく、事業に使うでもなく、ただ「お金を貸した」のと同じになります。この構造が一番ヤバいです。 - すぐに顧問税理士に相談する(営業マンじゃない方)
ユーザーの声でも「営業マンは『大丈夫』と言うけど、税理士は『やめとけ』と言う」という軋轢が報告されています。税務のプロは税理士です。 営業マンがいくら「大丈夫」と言っても、税務調査で指摘されたらあなたの責任です。必ず書面で税理士に確認をとりましょう。 - ドローンが本当に「事業の用に供されているか」記録を取る
もし本当にレンタルに出しているなら、いつ、どこで、誰が、どのドローンを、何に使ったのか。この記録が一元管理できていますか?「業者が管理してるから大丈夫」は通用しません。あなたの事業として管理できていないものは、経費になりません。
まとめ:ドローン節税を考えるなら「実態」のある投資を
「ドローンネット節税」というワードで検索する皆さんが本当に知りたかったのは、「安全に節税する方法」 だったはずです。その答えは、決して「レンタルスキーム」にはありませんでした。
2022年の税制改正と、2025年のドローンネット破綻は、はっきりと「形だけの節税は終わった」 と告げています。これからの時代、税務署が評価するのは「あなたの事業にとって、そのドローンが本当に必要か」という実態だけです。
もしどうしてもドローンを経費にしたいなら、自分の事業に本当に必要な機種を選び、実際に使い、その記録をきちんと残す。これに尽きます。ちなみに、DJIの業務用機やACSLの国産ドローンなど、用途に合わせた機種選びは重要です。撮影用にDJI Mini 4 Proを買うのか、測量用にMatrice 350 RTKを導入するのか。その選択が、ただの「節税」ではなく「事業成長のための投資」として認められるかどうかの分かれ目です。
営業マンの甘い言葉に耳を貸す前に、まずは信頼できる税理士に「このドローン、本当に経費にできますか?」と聞いてみてください。その一手間が、後々の大きなトラブルを防ぐ最強の節税対策です。

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