「DJI Mini 4 ProでRAW動画が撮りたい」——そう思ってこの記事を開いたあなたに、最初に正直にお伝えします。この機種は技術的には「RAW動画」には対応していません。でも、撮影後に色味を自由に調整できるフラットな映像素材を求めているなら、D-Log Mというカラープロファイルを使うことで、RAWに近い編集の自由度を手に入れることができます。
実は、このD-Log Mをどう設定し、どう編集すれば思い通りの映像が作れるのか、そこまで具体的に解説している日本語の情報はまだ多くありません。さらに2026年7月にはActiveTrack 360の自動モード追加など、撮影を劇的に変えるファームウェアアップデートもリリースされています。この記事では、そうした最新情報も織り交ぜながら、D-Log Mの真の使い方と、高画質映像を撮るための具体的なノウハウをまとめました。
DJI Mini 4 Proで「RAW動画」は撮れない?D-Log Mでここまで編集できる
まずはっきりさせておきましょう。DJI Mini 4 Proは、ビデオ撮影において「RAW」形式の動画ファイルを出力することはできません。これは1/1.3インチセンサーを搭載するドローンとしては仕方のないことでもありますが、だからといって画質に妥協する必要はまったくありません。
その代わりに用意されているのがD-Log Mというカラープロファイルです。これは彩度とコントラストを意図的に抑えたフラットなガンマカーブを持っていて、撮影後の編集(カラーグレーディング)を前提に設計されています。いわば「RAWライク」な編集のしやすさを、H.264/H.265の動画ファイルで実現する仕組みです。
実際に、価格.comやAmazonのユーザーレビューを見ても、「D-Log Mで撮影した素材の編集が思いのほか簡単だった」「色の調整範囲が広くて助かる」といったポジティブな声が複数確認されています。一方で、「設定がよくわからなかった」「編集ソフトでの扱いに戸惑った」という声も散見され、まだまだ情報が行き届いていないのが現状です。
D-Log MとHLGとNormalの違いは?目的別おすすめ設定
まずは、DJI Mini 4 Proが搭載する主要なカラーモードの特徴をざっくり比較してみましょう。撮影シーンや仕上がりのイメージによって、どのモードを選ぶべきかが変わります。
| カラーモード | 特徴 | 編集の自由度 | おすすめ撮影シーン | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| Normal | 撮って出しで鮮やか、コントラストがはっきり | 低 | 旅行の思い出、SNSへの即時アップロード用 | 後から色味を大きく変えにくい |
| HLG | HDR規格の一つ。明るい部分と暗い部分の情報を豊かに保持 | 中 | 風景撮影、夕日、コントラストの強いシーン | HDR対応ディスプレイでの再生が前提 |
| D-Log M | フラットなガンマカーブ。彩度とコントラストが低く、白飛び・黒潰れを抑える | 高 | 映像作品制作、カラーグレーディングを前提とするすべてのシーン | 撮影後の編集が必須。適切なLUTの適用が必要 |
この中で、編集の自由度を最優先するならD-Log M一択です。色情報をフラットに記録することで、あとからハイライトとシャドウのバランスを大きく変えたり、全体の色調をがらりと変更したりすることが可能になります。
D-Log M撮影で絶対に外せない3つの設定ポイント
では実際に、D-Log Mで撮影するときに押さえておきたい設定を3つ紹介します。
1. 露出は「ややアンダー」気味に。ヒストグラムを必ず見る
D-Log Mはフラットなガンマ特性を持つとはいえ、センサーの物理的なダイナミックレンジには限界があります。特に空や雲などの明るい部分が白飛びすると、編集で情報を戻すことはほぼ不可能です。
そこでおすすめなのが、露出を少しだけアンダー(-0.3EV〜-0.7EV)に設定すること。ヒストグラムを表示させて、右端(ハイライト側)が壁に張り付かないように調整しながら撮影してください。やや暗めに撮っておけば、編集時に明るさを上げることでノイズが増えるリスクはありますが、白飛びよりははるかに救済が効きます。
2. シャッタースピードは「1/フレームレートの2倍」が基本
映画のような自然なブラー(動きのぼやけ)を表現するには、いわゆる「180度ルール」に従うのがセオリーです。例えば、4K/30fpsで撮影するならシャッタースピードは1/60秒、4K/60fpsなら1/120秒に設定します。
このとき、NDフィルター(減光フィルター)が必須になります。DJI純正のNDフィルターセット(ND8/16/32/64など)を用意しておけば、晴天下でも適正なシャッタースピードを保てるので、ぜひセットで揃えておきましょう。
3. ホワイトバランスは「Auto」ではなく固定する
これは意外と見落とされがちなポイントですが、D-Log Mでの撮影ではホワイトバランスを必ず固定してください。Auto(自動)にすると、被写体や天候の変化で色味がカットごとに変わってしまい、編集時に統一感を出すのがとても難しくなります。
屋外の日中なら「日光(5500K)」、曇り空なら「曇天(6500K)」、夕方なら「電球(3200K)」などを基準に、シーンに合わせてマニュアル設定するのがおすすめです。
最新ファームウェア(2026年7月)で撮影がどう変わったか
ここからは、2026年7月にリリースされたファームウェアアップデートの話をしましょう。このアップデートは、DJI Mini 4 Proの撮影体験を大きく変える内容になっています(Drone.kz、2026年7月)。具体的にどんな機能が追加されたのか、見ていきます。
ActiveTrack 360に「自動モード」が追加
従来のActiveTrack 360は、自分で被写体の周りを旋回する軌道を設定する必要がありました。しかし今回のアップデートで自動モードが追加され、ドローンが自律的に被写体の周囲を360度ぐるっと回って撮影してくれるようになりました。
これはD-Log Mで撮影するときにとても便利です。被写体に集中しながら、多様なアングルの映像をフラットな色味で一気に収集できるからです。編集時に最適なカットを選んでグレーディングすれば、プロ顔負けの仕上がりになります。
Vision Assist機能が使えるように
Vision Assistは、機体の周囲にある障害物の状況をカメラ映像でリアルタイムに確認できる機能です。これまでは障害物センサーが作動しても、実際に何があるのかがわかりにくかったのですが、今回のアップデートで視覚的に把握できるようになりました。
複雑な地形での撮影や、木々の間を縫うようなシチュエーションで特に役立ちます。安全を確保しながら、思い通りの構図でD-Log M撮影に集中できるというわけです。
12MP写真モードで3倍デジタルズームに対応
写真モードにも改善が入っています。12MPモードでデジタル3倍ズームが使えるようになったので、被写体に近づけないシーンでも、ある程度の画質を保ちながらフレーミングを調整できるようになりました。
とはいえ、あくまでデジタルズームです。画質の劣化は避けられないので、どうしても必要な場面だけに使うのが無難でしょう。
「48MPは偽物?」編集で差が出るのは実は12MPモード
ここで一つ、どうしても触れておきたい論点があります。多くのユーザーが「48MPモードで撮影すれば高画質なRAW写真が撮れる」と思い込んでいるのですが、実はちょっと違います。
オランダのドローン専門メディアDronewatch(2023年9月)の検証によると、DJI Mini 4 Proの1/1.3インチセンサーでは物理的に真の48MPのダイナミックレンジを実現するのは難しく、48MPモードは12MPのデータを基に複数フレームを合成・アップスケールする処理が行われているとのことです。
つまり、編集時の情報量という点では、むしろ12MPモードのほうがダイナミックレンジが広く、あとからの調整に耐えられるケースがある、というわけです。高解像度が魅力なのは間違いありませんが、カラーグレーディングや露出補正を前提にするなら、無理に48MPを選ぶ必要はないでしょう。
実際のユーザーはどこでつまずいている?D-Log Mのリアルな声
SNSやレビューサイトで見られるD-Log Mに関するユーザーの声を集計してみると、いくつかの共通した傾向がありました(価格.com、Amazon.co.jp、2026年8月時点)。
- ポジティブな声(約5件中3件):「4K/60fpsの映像が素晴らしい」「ジンバルが非常に安定していて、手持ちカメラの代わりになる」といった評価が目立ちます。画質の良さと機体の安定性には、多くのユーザーが満足しているようです。
- ネガティブな声やつまずき(約5件中2件):「高感度時のノイズが気になる」「D-Log Mでの撮影方法がよくわからない」といった声が上がっています。特に後者については、設定がわからずNormalモードでしか撮影していないユーザーも少なくないと推測されます。
つまり、多くのユーザーは「D-Log Mが使える」という事実は知っていても、実際の設定手順や撮影後の編集ワークフローまでは理解できていない。そこに大きな情報ギャップがあるのがわかります。
D-Log M素材を編集するときの具体的なワークフロー
では最後に、D-Log Mで撮影した素材をどう編集すればいいのか、簡単な流れを紹介します。
- 編集ソフトに読み込む:Adobe Premiere Pro、DaVinci Resolve、Final Cut Proなど、カラーグレーディングに対応したソフトを用意します。
- LUTを適用する:DJI公式サイトからD-Log M用のRec.709 LUT(ルックアップテーブル)をダウンロードして適用します。これだけで一気に「普通の映像」らしいコントラストと彩度が戻ります。
- 微調整する:LUTを当てた状態から、露出や色温度、シャドウとハイライトのバランスを自分の好みに調整します。ここがD-Log Mの真骨頂です。
- 必要に応じて色調を統一する:複数のカットで色味をそろえたい場合は、ホワイトバランスを固定して撮影しておいたデータが活きてきます。
このワークフローを一度覚えてしまえば、D-Log Mはとても扱いやすいプロファイルだと実感できるはずです。
DJI Mini 4 ProでD-Log Mを使いこなして、あなただけの映像を
DJI Mini 4 Proは間違いなく、このクラスで最も映像制作に適したドローンのひとつです。RAW動画には非対応でも、D-Log Mと適切な編集ワークフローを組み合わせれば、十分にプロフェッショナルなクオリティの映像が仕上がります。
今回紹介した設定ポイントや最新ファームウェアの機能をぜひ活用してみてください。そして何より、思い通りの色味に調整する楽しさを知ってほしいと思います。あなたの映像表現が、一段階上のレベルに到達することを願っています。

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